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「生きづらさを抱える宮城県内の高校生世代への応援事業」のご報告

特定非営利活動法人mia forzaでは、社会福祉法人中央共同募金会様の「居場所を失った人への緊急活動応援助成 第6回」に採択をいただき、2022年12月から2023年12月までの1年と1ヶ月の間「生きづらさを抱える宮城県内の高校生世代への応援事業」に取り組みましたので、ご報告いたします。

活動内容

②宮城県内の困難な状況にある高校生世代への食糧・生活用品の提供。
②女子少年院に入院している高校生世代が出院する際(自立時)の生活用品の提供。
③宮城県内の高校を通じた高校生への食糧・生活用品の提供。
③宮城県内の自立援助ホームやシェアハウスに入所している高校生世代への食糧・生活用品の提供。
④ひとり親世帯・生活保護世帯のほか自立援助ホーム入所中・退所後のこどもたちが多く通学している公立高校と連携し、生徒への食糧・生活用品の提供。
⑤食糧・生活用品提供を連携して行っている公立高校と連携し、同校の生徒へのアンケート調査。
⑥宮城県内NPOや自治体・専門機関からの依頼による困難な状況にある高校生世代の相談対応及び同行支援。
⑦困難な状況にある高校生世帯への家庭訪問。
⑧困難な状況にある高校生の保護者の相談対応及び同行支援。
⑨困難な状況にある高校生を対応している学校及び教諭からの相談対応及び学校訪問。
⑩地域住民や民生委員・主任児童委員等からの高校生世代及び高校生がいる世帯に関する相談の対応。

相談対応方法:電話・メール・SNS・面談・Web面談。
高校生世代:15歳(一部中学生含む)〜21歳(少年院や定時制高校等には、18歳以上も在籍しているため)。

活動の成果

①宮城県内の困難な状況にある高校生世代への食糧・生活用品の提供や、高校を通じた高校生への食糧・生活用品の提供をきっかけに、高校生世代からの相談を受けることが増えました。
家族や友人関係の改善に向けたサポートや就職・進学の情報提供とキャリアカウンセリングのほか、家族からの虐待については専門機関へつなぎ、学校・自治体・専門機関・当法人の4者でサポートを行いました。
②女子少年院に入院している高校生世代の出院時(自立時)の生活用品提供と共に帰住先地域のサポート機関の情報提供を行い、出院後の孤立・孤独や再犯防止の一助を目指しました。
③宮城県内の自立援助ホームやシェアハウスに入所している高校生世代への食糧・生活用品の提供をさせていただきました。今回、自立援助ホームやシェアハウスと連携することで、施設運営にかかる資金が厳しいことを知ることができました。今後も、できる限り連携をし、なんらかのお役に立ちたいと思いました。
④ひとり親世帯・生活保護世帯のほか自立援助ホーム入所中・退所後のこどもたちが多く通学している高校と連携し食糧・生活用品の提供を行いましたが、先生方と定期的に話し合いを重ねることで、こどもたちの状況・動向・希望に配慮したサポートを行うことができました。また、高校へ社会資源(企業・フードバンク等のNPOやこども支援専門機関)を繋いだほか、県議会議員の方々にも来校を促し高校生が直面している課題や置かれている状況を知っていただき今後の施策に繋げるようお願いしました。
⑤食糧・生活用品提供先高校と連携し、宮城県内初の高校生QOL調査を行うことができました。
食糧・生活用品の提供を受けている層は、当初の予測に反して心身が健康であることがわかりました。逆に心身に課題を抱えている生徒ほど食糧・生活用品の提供や地域のサービス・制度の利用をしていないことがわかりました。このことから、心身に課題を抱える前のさまざまな情報提供が重要であることと、課題を抱えた生徒への効果的なアプローチの検討が必要だとわかりました。
⑥宮城県内NPOや自治体・専門機関からの依頼による困難な状況にある高校生世代の相談対応及び同行支援を行いましたが、同じ宮城県内であっても自治体の対応に濃淡があることがわかりました。また、同じ系列の専門機関でも施設が変われば対応が異なることもわかりました。誰がどこに相談しても同じように支援を受けることができることが大切です。特に自治体等においては、対応や制度理解・利用に偏りやムラのないようにしなくてはならないと思います。偏りやムラのある対応を行った自治体へは、今後の連携を踏まえ話し合い等、相互理解の場所を設けることもしました。
今後もこのようなことがあれば、積極的に話し合いの場を作りともに課題を解決できるよう働きかけます。
⑦困難な状況にある高校生世帯への家庭訪問や困難な状況にある高校生の保護者の相談対応及び同行支援を積極的に行いました。こどもたちの生活環境や人間関係・家族関係を知ることで、多様な連携による多様な支援を実現できるようになってきました。
また、親支援を行うことで、硬直化していた親子関係に変化が見られることも多くありました。
⑧困難な状況にある高校生を対応している学校及び教諭からの相談対応及び学校訪問の依頼が増えました。特に18歳成人を迎えた高校3年生への対応に窮している学校が多いことがわかりました。
18歳に達していることから児童相談所のサポートが受けられない、とのことから、学校と連携しながら、自治体や民間団体、成人対象施設などに協力を仰ぎこどものサポートを進めました。
また、何人かの18歳高校3年生を当法人のシェルターに保護をさせていただきました。

本事業を通して応援をさせていただいた宮城県内の高校生世代は、のべ1,916人でした。

活動を終えて

宮城県内の高校生世代に関するデータが乏しいことが、今回わかりました。
調査設計を行う際、参考となるデータが県内で見つけることができなかったことから、比較対象として北海道の調査を参考に行いました。
特定非営利活動法人mia forzaでは、今後も本調査を継続的に行っていくことで、高校生世代の抱える課題をより深く・明確に掴むことと効果的なサポートを行ったり仕組みを構築できるのではないかと考えております。
また、こどもサポートだけではなく、親サポートも並行して行うことでこどもたちが抱える生きづらさや悩みが早期に軽減することも見えてきました。
サポートの際には、学校や専門機関、NPO、自治体、医療機関等など、本人を取り巻くさまざまな社会リソースと連携することで、手厚く多様なサポートが実現するだけではなく、たくさんの大人が応援していることをこどもたちが知る・感じることで、勇気づけられ自らの力を発揮し早期に一歩踏み出せるようになることがわかりました。
また、他機関連携は、各機関の経験値を飛躍的に伸ばすこともわかりました。特に、自治体相談員から「連携することは学びが大きい」との声を何度もいただきました。民間団体の情報がないことから「18歳成人」の壁を越えられず、不本意な支援終了を迎えてしまうこともあった無念そうに話された自治体相談員や担当職員の方が何人かいらっしゃいました。
今後は、官民の連携をさらに確固としたものとすべくさまざまな視点と方法で取り組む必要があると思いました。

社会福祉法人中央共同募金会様、そして寄付者・会員のみなさまへのお礼

お力添えのおかげで、これまでになく幅広い分野の組織と連携をしながら、こどもたちの応援を行うことができました。心から感謝申し上げます。
また、専門家のお力添えをいただき宮城の高校生世代の調査を行うこともできました。
調査からは、こどもたちの心身の状態や環境への理解を深めることができただけではなく、東日本大震災の影響についても窺い知ることができました。
本調査をきっかけに、今後もこどもたちを多角的に応援できる体制を構築することと、継続的な調査を行いながら、こどもたちの声を活かした仕組みづくりにつなげたいと考えております。
引き続き、温かなお力添えをお願いいたします。

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